卵巣腫瘍は、こぶし大程度まで大きくならないと症状が出にくい病気で、発見が遅れやすい傾向にあります。卵巣腫瘍がねじれて、卵巣につながる血管がつぶされて血流が滞ると、卵巣と腫瘍が壊死し、炎症を引き起こします。そうすると急に激しい下腹部痛が現れることがあります。これを卵巣腫瘍茎捻転(けいねんてん)と呼びます。多くは直径が5cm以上の腫瘍で引き起こされます。 卵巣がんでは腹水や胸水がみられますが、良性の腫瘍でもみられることがあり、良性腫瘍の場合は腫瘍を摘出すると、それらは改善します。良性の充実性腫瘍は、まれにホルモンを産生することがあり、女性ホルモンによって閉経後に月経様に再出血したりします。また、男性ホルモンが分泌されることもあり、その場合は多毛、筋力発達などの男性化徴候が起こることがあります。
卵巣のう腫の原因
粘液性のう腫は、ゼリー状の粘液が溜まることで発生します。かなり大きくなるのが特徴で、閉経後の女性に多く見られます。良性の卵巣腫瘍のなかで比較的発生頻度が高い、成熟嚢胞性奇形腫は、20〜30代の女性に多く見られます。皮様性のう腫ともよばれます。人体の起源となる細胞が腫瘍化することで発生し、どろっとした液体が入っています。時に、皮膚や脂肪、歯や毛髪が一緒に入っています。
子宮内膜症性卵巣嚢腫は、卵巣の内部で子宮内膜が増殖し、月経周期に合わせて出血を繰り返し、卵巣のなかに月経血が毎月たまることで発生します。チョコレート嚢胞とも言います。 悪性の卵巣腫瘍である卵巣がんは、通常、がん抑制遺伝子の異常によって発生すると考えられています。また、食生活の欧米化に伴う動物性蛋白質の摂取量増加や、晩婚化による、子供を産む数の減少にも関係があると言われています。近年、卵巣がんの一部が、子宮内膜症性卵巣嚢腫を母地に発生する可能性が示されてきています。このため、年齢が40歳以上の患者さんにおいて、直径4cm以上の子宮内膜症性卵巣嚢腫は手術が推奨されています。
卵巣のう腫の治療法
卵巣のう腫がみつかった場合、のう腫の種類を医師に診てもらい、必要な治療を受けましょう。良性で経過観察となった場合は、腫瘍が4〜5cmになると茎捻転を引き起こしやすくなりますから、定期的に病院を受診して腫大の程度を観察してもらうようにしましょう。茎捻転の原因になるため、これまで行った事が無いような激しい運動は避けましょう。過激なダイエットも避けましょう。ストレスが最大の原因と言われているため、ストレスをためないようにし、十分な休息をとりましょう。
茎捻転を起こす前2日〜3日の間に、ほとんどの人が腰痛や腹痛を感じます。もしこのような症状を感じたら、茎捻転の可能性があるので、病院に行って調べてもらいましょう。卵巣がんの場合は、動物性蛋白質の摂りすぎに注意し、野菜をふんだんに取り入れた食生活にすると、発症のリスクを少し下げることができます。